2012年2月20日月曜日

日本のカタチ傍論

現在、日本のカタチ2050という本を、マエキタさん、馬場さん、山崎さんとで書いていますが、これはその傍論です。
あるとき、馬場さんがおもしろい統計データを持ってきてくれました。これは

http://ja.wikipedia.org/wiki/日本の市の人口順位

というもので、人口のランキングと増減がわかるようなものです。
これは大変興味深い。馬場さんによると、人口が増えている都市は増え続けるし、減っている都市は減り続ける。ということがわかるというものです。そのなかで都市は増えつづけているし、地方は減り続けている。
 一方、2050年というわずか40年後に人口が1億〜8500万人まで減るということがわかっています。
 私はこれに関して、すこし、懐疑的です。すこし、人口減少の速度が低いのではないかと思っています。これを正確に出すと社会保険が成立しなくなりすぎる。なんとか、高い水準を維持するように考えようとしている様に見えるのです。

 さて、人口の話しに戻りましょう。今が2012年1億3000万人ですから、これからすごい勢いで減っていきます。例えば、東京の都市圏の人口が3000万人なのを、維持すると仮定します。そうすると、総人口から3000万人引くと、残りは1億人からなんと少ない場合で7000万人の30%減、あるいは5000万人の50%減まで、一気に減っていくことがわかっています。ですから、地方はどうやって人口の流出を食い止めるかが大きな命題になります。ですが、それは止められていない。ということは、単純に町が維持できなくなっていくことを意味しています。乱暴な言い方をすれば、都市の数が半減する。各県で人口が半減すると、すごいことがおこります。地方の都市、例えば県庁所在地は維持されるとすると、県のなかの田園部には論理的に、人口がなくなるということになっていきます。たとえば、山形県では県の人口が116万人として、それが、58万人にまで、減少する。そうすると、山形25、鶴岡10万人、酒田10万人、米沢10万人とすると、残りは3万人になってしまう。
そういうことが現実的に起こりうる状態になっています。これは結構大変なことですが、特に積極的に、これに抗い、なんとかできるような施策は見受けられません。一例として、山形県をあげましたが、多かれ少なかれ、市町村はそういうことを視野に入れて行動しなければならないと思います。

■地方の都市の規模は半分になる。
■半分の人口になったときに、どういう施策をとるか、今から考えなくては行けない。
■魅力ある都市は生き残り、残りの半分の市区町村はなくなる。

ですから、市区町村は広がっている郊外を整理し自然に戻し、都市部にコンパクトに人口をあつめる施策をとらなくてはいけません。同時に、行政サービス自体をコンパクトにしていかなくてはならない。人口が半分に減ったときに、いまと同じ人数はかけられません。半分でやるにはどうしたらよいか考える。また、40年後に半分にするには今から採用の量をコントロールしなくてはいけない。やらないと確実にギリシャになります。

さて、行政サービスは距離が大きくなればなるほど大変になります。ここで、考えられるのは4つ。

■物理的に都市を縮小し、中心市街地に人が集まる政策を積極的にする。
■インターネットなどを使い、情報の質を上げる。
■人口が減少しないよう、若者を積極的に誘致する。
■行政サービスだけでない、住民参加を積極的に行い、行政の単価をさげつつ、魅力あふれるまちづくりを進める。

最初の中心市街地の整備に関してはいえば、商店街などの商業の問題ではありません。住民がいかに住むか、住宅にとってのサービス、保育園や病院がいかに完備されるかが重要です。そのためには固定資産税の減免や空いている駐車場を住宅に変えていくような施策が必要となります。その結果、商店街が日常の買い回り品などを求める住民のニーズに応えるかたちで復活しますが、それは結果です。

次に、インターネットのリテラシーをあげることが重要です。今の高齢者はいざ知らず、これからの高齢者はこれから、パソコンを習っても決して遅くはありません。
行政サービスを民間の力を合わせて、変えていくことが必要です。

若者の積極誘致は若者がいかに快適に暮らせるかの環境を整備することです。町の中心部に若者という理由で、低家賃で人が暮らせるような施策が大切です。

さまざまな施策は時に甘やかしに見えるかもしれません。ただ、隣の町が同じことをやれば、人口は動いていきます。どこまでするかはそのバランスで見なくては行けないのだと思います。さて、行政のサービスをあげながら、コストを削減することはあまり簡単なことではありません。住民の参加をどう促すかが大きな鍵となってきます。その参加をテーマ型のワークショップで乗り切っているのが、同じ会議のメンバーの山崎亮さんです。ぜひ、彼の「コミュニティデザイン」を読んでみてほしいと思います。

さて、もうすこし、大きな視野に立つと、夕張市のような事例はこれから、数多く起きると考えられます。ここで、必要なのは財務の状況を冷静に判断できるガイドラインが必要だと思われます。破綻する市町村は、大きく破綻すると住民に被害のしわ寄せが行ってしまう。そうならないためのバランスシートがうまく建てられることが重要です。厳しいですが、改善の余地がない場合は、住民の移住も含めて考慮しなくてはいけないと思います。そうしないと、いくらコンパクトを進めても行政サービスが行き渡らなく、隣町が連鎖倒産を起こす危険があります。県や国はそういった行政の空白地帯をどう考えるか考えておく必要があります。